第5回ロスプリベンション講座

エイジスの阿部です。
私は、ロスプリベンションコンサルタントとして、お取引先各社へのコンサルタントを担当しています。
防犯設備士、セキュリティ診断士、セキュリティプランナー、クライシスマネージャーとして、店舗の問題点や課題を発見して改善策をご提案しています。

今年は暑い。

この暑い中、窃盗犯、未遂犯、器物損壊犯の痕跡や映像を現場で見ている日々・・・。
イラっとします。

今月だけでも「盗ろうとして店を出たら発報したのでビビッて商品を投げて逃げた」、「防犯タグをはがそうと、カッターのような鋭利なものでタグを傷つけたがキレイにはがれず、諦めて店内に大量の傷つけた商品を捨てていった」などが発生。

それでも諦めず対策をしていくしかないのです・・・。

さて今回はロスプリベンション(以下LPと呼ぶ)の取り組みの中で、その「前提」「背景」 「取り組みポイント」「取り組み順序」についてお話しします。

1. 取り組みの前提

LP取り組みにトップの理解がある
トップの理解なしでは経理(現金等管理・ロス算出)、総務(警備・防犯設備)、 システム(ロス算出)、人事(勤務ルール・教育・評価)、店舗開発(立地、店舗設計)、 商品(陳列方法)、物流(検品)、店舗運営(職務ルール)など、 多部門にわたる取り組みは成功しません。

専任組織(専任担当者)がある
経営陣の中にトップに報告する専任組織リーダー(米国ではVice Presidentクラス)。
その下に専任担当者。
事例として、日本の大手企業で本部所属専任者が90人弱、米国HC企業のロウズ社で本部・地域スタッフで175人、店舗に1,100人以上の陣容。

取り組み予算がある
目安として売上対比0.7%(GRTBより)。
適切な予算をつけなければ始まりません。

2. 背景

不明ロスの80%は犯罪被害、不明ロスの40~50%は従業員に起因
(本メルマガ4月号に記載) → 第1回ロスプリベンション講座

グローバル化により犯罪発生傾向は高まる
LP取り組みレベルが数段上の欧米は、それでも日本よりロス率が高い傾向にある。
外部環境が悪化しても困らないために今から準備を。

防犯環境から考察すると、犯罪者は防犯レベルの低い方へ流れていく
自店が犯罪者を吸い寄せる店にならないために。

3. LP取り組みのポイント

プロセスを重視
結果だけで判断しない。ルール通り、スケジュール通り。

ロスを低位で安定させる
“0”を目標とするのはナンセンス 。

費用対効果で検証
不明ロスを0.XX%とする。

取り組み項目の中では「従業員のLP意識向上活動」がカギ
教育、訓練、キャンペーン、褒賞。

4. LP取り組みの大きな順序

  1. 現在のロス状況を把握・分析(ロスデータ分析、防犯診断)
  2. ロス要因のうち、「管理ミス」削減を優先取組
  3. 次に「内部不正」「万引」「業者不正」を同時に取組
  4. 各取り組みに対し効果検証

次回は、各取組の事例や一部詳細を紹介します。