Newsletter from California, USA 「引き続くパンデミック対策」

 エイジス米国カリフォルニアオフィスより、アメリカの最新情報とビジネス動向をお届けいたします。

 アメリカは新型コロナ感染拡大が続き、多くのエリアが事実上ロックダウンの新年を迎えました。ワクチン接種が始まり収束に向かうことが期待されますが、まだまだ先が見えない状況です。

 パンデミックにより社会全体のデジタル化が加速し、日常やスタンダードだと思われていたことが大きく変化しました。業界の概念を覆すサービスが登場し、昨年10カ月で今後10年分の進化を達成したと例えられるほど、急速な革新が起こっています。購買のオムニチャネル化が進み、eコマース売上が成長拡大する中で、リアルとデジタルの融合がさらに進むことが見込まれます。

 より安全に営業を行い、社会にとって必要不可欠な存在で在り続けるため、リアル店舗は様々な試みで変化への対応を続けています。

  • 入店制限や入店待ちの列の対応策

 アメリカでは、お客様と従業員の感染対策として店舗の入場制限を推進するエリアが多く、カリフォルニア州ロサンゼルスカウンティーでは、グローサリーストアなどのエッセンシャル店舗は最大収容可能人数の35%まで、ショッピングモールなどのノンエッセンシャル店舗は20%までの上限が定められています。(2021年1月上旬時点)

 リアル店舗での安全で快適な買物体験を提供するため、米スーパーマーケットチェーンのウェグマンズ(Wegmans)は、行列の多い店舗にライブカメラをインストールして、長い待ち時間が発生する可能性を確認できるサービスを提供しています。

©2021 Wegmans Food Markets

 米GMS大手ターゲット(Target)は、Target.com/lineというマイクロサイトを導入し、行列の状態確認や入店予約が出来るサービスを始めています。予約した買物客は、入店予約時間になるとテキストメッセージを受け取る仕組みです。

 家電量販チェーンなどのノンエッセンシャル業種では、アポイントオンリーの予約制で入店制限を行う店舗も多く見られます。店内での密が発生しやすいキャッシャーエリアの混雑や列を最小限に抑えるため、スマートフォンによるスキャン&ゴーなどのセルフ決済やキャッシュレス決済は、引き続き多くの店舗で導入される見込みです。

 今後は、AIを駆使した混雑コントロールテクノロジーや、入店待ち時間に楽しく利用できるアプリコンテンツ開発も進むことが考えられます。

 

  • 売場の役割を高める

 ニューノーマルでは、オンラインショッピングの即日配送や、オンライン注文した品物のカーブサイドピックアップやロッカー受け取りなど、コンタクトレスでシームレスな購買ニーズへの対応が求められます。

 米家電量販大手ベストバイ(Best Buy)はパンデミック以降、250店の店舗最適化に取り組んでいます。テスト店舗で様々なレイアウトを試し、各サービスの側面が互いにどのように連携して機能するかをテストする試みです。

© Associated Press, Nati Harnik

<テスト店舗例>
・増加するオンライン注文に対応するため、カーブサイドピックアップやピックアップロッカーに隣接する倉庫スペースを設ける。
・売場を約55%縮小して人気のある回転率の良い商品の販売に重点を置き、店舗での売れ行きよりもオンライン販売が顕著な商品を保管するバックルームスペースを割り当て、フルフィルメントセンターを構築する。
・ 各種家電の設置やサポート、パソコン関連のリペアーなどの窓口スペースを拡大して、カスタマーサービスを強化する。

©2021 Best Buy

 ベストバイは、収益が悪化した店舗を閉店してeコマース対応を強化する一方で、売場の見直しや最適化を行い、リアル店舗の役割を高める方針です。
同社CEOのコリー・バリーによると、オンライン売上の約50%が店舗ピックアップと店舗からの発送となっており、変化に対応した便利で快適なサービスを生み出す姿勢で第3四半期のオンライン売上高174%の成長を遂げています。

 パンデミックでも好調なチェーンは、テレワークの浸透やステイ・アット・ホームによる購買特需に加えて、変化に柔軟に迅速に対応するアクションが早く、変化に対して積極的です。

  • QRコード活用の見直し

 パンデミックによりQRコードの活用が復活し、見直されています。
ニューノーマルに求められるキャッシュレス決済に加えて、コンタクトレスな買物体験やサービス、新たなマーケティングやコミュニケーションツールとして様々な用途が生まれています。

 店頭やデジタルサイネージにQRコードを表示して、デジタルクーポンや宣伝情報、自社アプリへのアクセスを促す店舗が多く見られます。レストランでは、メニュー共有による感染を避けるために、QRコードをスキャンしてデジタルメニューにアクセスできるサービスが広く浸透しています。

© Good Morning America

 QRコードによるグーグルマップでの店舗への地図表示や広い店舗内のナビゲーションサービス、ニュースレター登録、問い合わせメールへの誘導、コンタクトレス返品の手続き、ソーシャルメディアへのアクセスなど、幅広く活用されています。

 QRコードは企業と顧客をつなぐマーケティングツールとして、商品情報や宣伝映像、ネット購買ページやクーポンなどのデジタルな目的地に誘導したり、顧客エンゲージメント、ROIやコンバージョンレートの向上にも役立っています。製品パッケージにQRコードを追加するメーカーも増加傾向です。

© Heinz, Starbucks

 アップルとアンドロイドの両スマートフォンにQRコードスキャン機能が加わり、スキャン用アプリをインストールする必要が無くなってきたことも利用を後押ししており、パンデミック以降、業界を問わずあらゆる規模の企業が有効活用しています。

  • ドライブスルーの強化

 パンデミックで求められるコンタクトレスな買物体験を提供するために、ドライブスルーの需要が高まっています。

 米マクドナルド(McDonald’s)は、第二四半期売上の約90%がドライブスルー経由であり、米バーガーキング(Burger King)は、ドライブスルーのレーンをダブルに増やしたことで第三四半期売上が20%増加となりました。
 米ハンバーガーチェーンのシェイク・シャック(Shake Shack)は、既存店舗にドライブスルーやオンライン注文後のドライブスルーピックアップ専用レーンを導入し、米タコベル(Taco Bell)も、オンライン注文後のドライブスルーピックアップ専用レーンを備えたゴー・モバイル(GoMobile)ストアのデザインを発表しました。

©Hospitality Technology

 米スターバックス(Starbucks)は、店内飲食スペースが無いテイクアウト&ドライブスルー専用店を展開し、米ウェンディーズ(Wendy’s)もドライブスルー専用店のオープン計画を掲げています。
 米コンビニチェーンのワワ(Wawa)は、ニュージャージー州にチェーン初となるドライブスルーテスト店をオープンして好評を得ており、今後もドライブスルーを取り入れる店舗が増えると見込まれています。

©Wawa

  • ギフトカードの需要増加

 ギフトカードは、どこか味気なく贈り物のトップ候補ではありませんでしたが、ニューノーマルで人気上昇したもののひとつです。特にeギフトカードは、スマートフォンやデジタルウォレット、アプリの使用を通じてZ世代やミレ二アル世代からの需要が高く、Blackhawk Networkによると昨年は売上19%増加となり、今後も人気が続く見込みです。

 ギフトカードの所有者は、ほとんどの場合カード額面金額よりも多くを費やす傾向があり、リテーラーに質の高い新たな消費者と収益の流れをもたらします。また、eギフトカードは匿名の物理的なカードと異なり、受け取る人の連絡先を取得できるため、顧客との繋がりをマーケティングに活かすことも可能です。

 一年を通してニーズのあるギフトカードやeギフトカードのマーケティングやプロモーションを再考し、改めて有効活用してみてはいかがでしょうか。

 

©The Home Depot, Starbucks, Amazon, Apple, Best Buy

 パンデミックが収束に向かった後も、ニューノーマルでの変化や進化は引き続くと予想されます。
 今後も、個人をはじめチームや部署、組織レベルで柔軟かつスピーディーに変化に対応する姿勢が求められるでしょう。

以上

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