Newsletter from California, USA  「ウォルマートの取り組み」 後編

 エイジス米国カリフォルニアオフィスのドーリングです。アメリカの最新情報とビジネス動向をお届けいたします。

 米国はパンデミックからエンデミックへとシフトし、経済活動は力強く回復しています。

 復活に伴う需要拡大や社会構造変化によるサプライチェーン問題、インフレーション、最前線の労働力不足という状況下で、リテーラーは変化に適応しながら事業の成長に励んでいます。

 小売業の革新をテーマに躍進する巨大小売チェーン米ウォルマート(Walmart)の取り組みを紹介します。

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新しい市場の開拓

 ウォルマートは、以前からヘルス&ウェルネス分野を強化しており、保険代理店 「ウォルマート・インシュアランス・サービス」 や店舗でのクリニックサービス 「ヘルス・センター」 の拡大を進めています。

 1月には、新たな医療サービスとして、米Quest Diagnosticsと提携した健康ラボテストサービス 「クエストダイレクト」 の開始を発表しました。

 ウォルマートのウェブサイトを介して、健康状態、アレルギー、感染症、心臓や消化器官チェックなど50以上のテスト診断が可能で、病院の予約や通院が困難な層に24時間オンライン対応の新しい健康管理ソリューションを提供する試みです。

©Walmart QuestDirect

 また、垂直農法インドアファーム(屋内農場)スタートアップ米Plentyに投資する戦略的パートナー契約を1月に交わし、インドアファームで生産された新鮮なレタスなどを販売する計画を発表しました。

 垂直農法は、少ない土地で年間を通して水や温度などの環境条件をAI管理し、無農薬で効率的に生産出来るメリットがあり、Plentyとの共同プライベートブランド商品としてカリフォルニア州のウォルマート280店舗で今年中に販売を開始する予定です。

© Plenty

 1月にニューヨークで開催された全米小売業協会主催のリテールカンファレンス展示会 「NRFビッグ・ショウ」 では、メタバースでのバーチャル商品販売(電化製品、家具、ホームアイテム、トイ)、独自の仮想通貨発行、NFT売買を行うことを発表しました。

 メタバース市場に向けた商標登録の出願をすでに済ませており、若い世代をターゲットにした企画や販売計画を積極的に推進していく方針です。

サービスの進化 

 ウォルマートは、小売として商品を販売するだけではなく、消費者の幅広いニーズに応えて毎日の暮らしをサポートするリテール・アズ・ア・サービス(RaaS)の開発や拡大に積極的に取り組んでいます。

 1月には、ウォルマートの配達員が注文者のガレージや自宅冷蔵庫の中に直接商品を届ける宅配サービス 「インホーム・デリバリー」 の対象地域を拡大し、約3,000万世帯に向けて提供する計画を発表しました。

 「インホーム・デリバリー」 の利用者は専用アプリをダウンロードし、アプリでリモート操作可能なスマートロックを自宅やガレージドアに装備する必要があります。配達員はシューズカバーと手袋とマスク姿にボディカメラを装着しており、注文者は配達の様子をリアルタイムに撮影された映像で確認することが出来、配達と同時に返品も引き取ってくれます。

 ウォルマートは配達員の信用度を高めるため、少数チームに編成した専門配達員の画像、氏名、勤続年数などのプロフィールを公表し、配達員は万が一の事故や損害に備えた損害賠償保険に加入しています。同様の方法で、自宅内に処方薬を配達する 「インホーム・ファーマシー」 も近日中にサービス開始予定です。

© Walmart InHome Delivery

「イン・ホーム・デリバリー」 動画はこちら

 2月には、育児に翻弄する親をサポートするため、新生児から幼児期の子供に向けた睡眠コンサルティングや食事内容のアドバイス、ベビーシート取り付けなど、子育てにまつわる様々なソリューションサービスを提供するテクノロジープラットフォーム「トット・スクアッド(Tot Squad)」 を開始しました。

 ベビー用品の購入と同時に専門エキスパートとの相談や追加サポートを受けることが可能で、妊娠中の生活アドバイスや疑問に答えるサービスも提供しています。

© Walmart Tot Squad

サステナブルリテールの実践 

 ウォルマートは、2040年までにグローバルゼロカーボン達成を目標に掲げ、ウォルマート財団とともに100万平方マイルの海の保護、管理、復元を支援し、配送トラックのEV化、100%検証済みの森林破壊のない牛肉と大豆の調達、サステナブルシーフードの調達、再生紙によるプライベートブランド製品開発、サステナブル林業のサポート計画など、様々なサステナビリティー活動を行っています。

 2025年までに米国とカナダの自社事業の廃棄物ゼロに向けて、プライベートブランド製品のプラスチック製カトラリーを取り外し、今年前半には、カーブサイトピックアップと宅配にリサイクルまたは堆肥化可能な代替パッケージを使用するテストプログラムを行う計画です。

 自社での活動に加えて、サプライチェーンからプラスチックを排除するためにサプライヤーに協力を呼び掛け、2030年までにサプライチェーンの温室効果ガス排出量を1ギガトン削減するゴールに向けて働きかけています。

 ウォルマート店舗、倉庫、データセンター、配送センターの冷凍・冷蔵システムを、地球温暖化係数の低い冷媒(ハニーウェル・ソルスティスN40)に移行するプロジェクトも進めており、サステナブルリテールとして着実に行動しています。

©Walmart

 業界を牽引するウォルマートの取り組みは、参考になるヒントに溢れていると言えるでしょう。

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