チェーンストアのあるべき姿~アップデート編~

 前回に引き続き、エイジスグループのシンクタンク・エイジスリテイルサポート研究所の三浦から皆様にお届けする‟エイジスマーチャンダイジングニュース”です。

 来る2023年というチェーンストアにとって“難しい1年”に向けて、改めて「”リサーチ=調査・分析”からスタートしましょう」という提案を前回のリサーチ編でお伝えしました。
 様々なエリアの様々な店舗を調査すれば、店舗ごとの数値の良し悪しが分かり、その中には「カテゴリーや部門単位の勝ちパターンが必ず見つかるはず!」前編ではそんな話をさせていただきました。
※前編記事「チェーンストアのあるべき姿~リサーチ編~」はこちら

 実はチェーンストアとは「成功が多くて、失敗が少ない仕組み」こそ本質です。調査を行い、店ごとの違いを確認し、さらによりよい成績を目指すためには、
自社や他店の良い実例・パターンを“そのまま真似れ”ば成功の確率は高くなる
他店の失敗に学び、同じ失敗を繰り返さない
 これを“水平展開”といいます。この手法で成功を多く、失敗を少なくしていくことが多店舗展開には重要なのです。

全店の成果へつなげるために「成功例は真似し、失敗例から学ぶ」ことが多店舗展開する上で重要。©iStock

 わが社の“最新の勝ちパターン”が見つかったら成功の実例を多くするためのソフト面やハード面の“最新の勝ちパターン化=アップデート”を行います(“リモデル”とも言います)。

〈アップデート①-棚替え〉
 第一に、現状のハードウエアを変えずソフト面から“アップデート”する方法として、季節ごとに行う棚替えを実施します。PASなどを使い棚1本ごと、カテゴリーごとの棚効率を確認したら3、4月の新商品が登場するこの機会に、他店の成功している売上高と粗利高を最大化し、かつコストを最小化する棚割へと変更するのです。

「なんだ、棚替えは毎年きちんとやっているよ・・・」という声も聞こえそうです。

 しかし、私が取材現場で長年見てきた現実はこんな例もありました。商品部サイドの『店はスケジュール通りに棚替えをしているはず!』という理解と、店舗運営や営業側の『残商品の処分や人手確保など色々あってそんな計画通りなんかできないよ!』という声の、このギャップです。

 新商品に投じられる、せっかくのメーカーの販促強化や盛大なテレビCM投入のタイミングを逃していては計画通りの売上高にはつながりません。落とし穴は、この両者の認識のギャップに存在する場合が多いと感じるのです。

店内作業の人時構成比の内、棚替え作業は全体のわずか4%ほど…©月刊MD「マーチャンダイジングとマネジメントの教科書」調査データ

 エイジスマーチャンダイジングサービス(以下AMS)は、この課題を解決する「カテゴリーリセット」というサービスを提供しています。これは新商品登場期や13週単位の棚割り変更の際に“100%の事前計画通りの棚割変更”を実現するものです。旧商品の撤去から商品の入れ替えは勿論、什器組み換えや販促物の取付け、難易度が高い展示品の組立てなど、陳列から特殊作業までの全てをエイジススタッフが実行します。

 事前準備の確認がなされていれば、作業時間や完了期限はエイジススタッフの完全作業により計画通り守られますし、費用はゴンドラ・エンド1本単位で見積りをしますので事前に予算化は可能です。棚替え後に再び棚割・カテゴリーごとの効果検証を行えば、商品部と現場のPDCAサイクルの精度は確実に高まります。

エイジスでは1週間にゴンドラ本数1,000~2,000本を全国規模で実施が可能。©Ajis

〈アップデート②-改装〉
 第二が、ハード面の変更を伴う改装です。例えば、こんなシチュエーションでしょうか。
・他店の冷凍食品カテゴリーが好調なのに、自店は冷蔵ケースが少なくスペースが確保できないため、欠品が続発して機会損失になっている…
・主通路上の平台が客動線を妨げてデイリー食品の売上高が計画通り達成できないし、売価変更が多い…
人手が足りないのに什器が旧式で陳列に手間がかかっているし、値引も不完全だ…

 こうしたマイナスを解消し、売場をアップデートするには什器の移動や移設、入れ替えなども含んだ改装を行う必要があります。間違ってはいけないのが、この改装は古くなって什器を入れ替える“修繕”や、汚れた什器をきれいにする“メンテナンス”が目的ではないこと。あくまで他店の営業成績の良い”最新の勝ちパターン”へとアップデートすることが目的であり、営業力のアップが主眼なのです。

 現実の改装は、店舗開発や建設などの部署が取引先と連携して実行することが多いでしょう。建設などの部署は特別な能力・知識を有するスペシャリストですが、商品部や店舗運営の営業部隊はそうした知識を持ちません。人員は取引先に依拠することが多く、実行計画は取引先の人員確保に左右されてしまうことも多いのです。特に建築分野の人手確保が難しい時代には、計画通りの改装は意外に難しいケースも多いのです。

 AMSはこうした課題に対して、「営業改装」というソリューションを提案しています。実はこの営業改装は世界ナンバーワン小売業のウォルマートも採用している施策で、エイジスグループはこうしたアメリカチェーンの実例に学んでサービスメニューを作成しています。

開店しながら改装することで、売上を落とさない。エイジスの「営業改装サービス」©AJIS

 普通は3日から1週間かけて休業して行う改装を、営業中(休業を行わず)に実施します。営業改装は、最初にチェーン側の担当部署とパートナーシップを構築します。そのうえでAMSと、店舗開発担当や工事業者などが加わって、改装計画の進捗と作業工程を明示したマスタースケジュールを作成します。
 
 次に改装する売場をゾーンに分け、什器などを移動する週次の作業計画「ステップ・バイ・ステップ」に着手し、週単位でゾーンごとに順にレイアウトなどを変更します。この工程を終えたゾーンは次に、商品移動のゴンドラ、手を付けないゴンドラ、空き什器などを明確にした日別の作業計画「デイ・バイ・デイ」に進みます。

最終的に作業を1日単位の工程表まで落とし込むことで、計画的・効率的に改装を行うことができる。©Ajis

 この週次と日別の作業が順々に”水平移動”する形で営業時間内に実施されます。毎日の作業は明確ですし、エイジスは標準人時数も決めているので日別の必要人時数は事前に計画され、改装が計画通り確実に実行されていきます。

 これこそがアメリカチェーンのノウハウであり、AMSのメニューです。実例でも300坪クラスのドラッグストアなら2週間で95%の売上高を確保したまま売場のアップデートを実施していますし、2000坪クラスのホームセンターならば6週間の期間で90%の売上高を確保したままリモデルを終えています。しかも、休業でお客さまに迷惑をかけることもありませんし、従業員の負荷が増えることもないのです。

営業改装2週間なら期間中でも売上約95%を維持できる。🄫AJIS

 誤解がないように表現すれば、これはエイジススタッフが工事業者の下請けになることではありません。チェーンストアの計画に沿って、スケジュールから作業計画、人員配置までをAMSがパートナーとなって作成・実行するアップデートプランなのです。営業力アップのチェーンストアの計画が、計画通り実行できる、それが営業改装なのです。工事や施工などの難しい課題はエイジスのノウハウで解決します。

 調査・リサーチから導き出した成功事例を水平展開し、わが社の“最新の勝ちパターン”の店や売場を増やしていく店舗のアップデートのキーワードは“計画通り”。

 間もなく2023年を迎え、新年度もすぐそこです。値上げ、コスト向上、人手不足時代の難しい2023年に向けて、改めてチェーン全体のアップデートを計画化し、予算化、スケジュール化を検討してみてはいかがでしょう。


コラム執筆 / 三浦美浩
1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品業業」編集長、「販売革新」編集長
2011年8月 商業界取締役就任
2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる


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エイジスマーチャンダイジングサービス株式会社
TEL 0120-982-449
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