











新店レポート#ワークマン女子 コレットマーレ店
エイジス営業企画室の菅沼です。
今回は、オープン前から各種メディアで話題沸騰、注目を集めていました株式会社ワークマン様(以下ワークマン)の新業態の一号店へ行ってまいりました。
ワークマンが満を持してオープンした店舗をリポートします。
<まさかの入店制限!?大盛況なOPEN初日>
秋晴れの10月16日(金)横浜の一等地、桜木町駅前にやってまいりました。
目指すはコレットマーレ内に出店したワークマンの新業態店、その名も”#ワークマン女子”です。

秋晴れの横浜、桜木町駅前です。
駅からアクセス抜群のビルへさっそく入店したところで、1Fエスカレータ前に並ぶ奇妙な列に遭遇しました。
「これ、何の行列ですか?」
「5Fの#ワークマン女子への入店待ち(行列)です。」
「えっ、・・・ここまだ1Fですよね。」
「すでに5Fに入りきらなくて、1Fで待機いただいています。入店からお買い物終了まで、3時間は見ていてください。」
「さっ、3時間・・・。」

「#ワークマン女子」OPEN当日は、入店制限されるほどの盛況ぶり。
入店制限がかかる盛況ぶり、T〇Lのアトラクションも顔負けのすさまじい人気です。アパレル店舗のOPENで入場制限とは、今まで聞いたことがありません。
しかし、わざわざ千葉から横浜まで足を運んだ手前「それじゃあ」と帰るわけにもいきません。
素直に行列に並ぶこと90分、2フロアにわたる長い長い行列を超え、ついに店内に入店できました。
「あれっ意外と早く入店できたラッキー。」と、この段階では完全に油断しきっていた筆者でしたが、当然レジにも同じ時間だけ行列が生まれる現実を、後ほど目の当たりにすることになります。
<アイテム活用”シーン”を写真で提案する陳列と、SNSを意識した売場演出>

おしゃれなフォトスポット、”映え”重視です。

ゆるキャラ”わくこ”ちゃん。女性社員アイディアで、男性には全く出てこない発想とのこと。納得です。
まず目に引いたのは、アイテムが活躍できるシーン例を、写真で提案したPOPです。アイテム一つ一つを丁寧に紹介しています。
特に”押し”アイテムは、アンバサダーの人気ブロガーさんとともに紹介しており、POP内のQRコードからアンバサダーの投稿を見ることができます。

人気ユーチューバーを”アンバサダー”に任命し、””押し”アイテム近くのデジタルサイネージで紹介しています。
その計算された演出に加え、二度見してしまうほどの圧倒的な低価格帯(299円~3900円)は、気軽に「1回使いでも損はしない」と思わせ、”衝動買い”を誘う見事なプロモーションです。

写真でアイテム活用”シーン”を訴求、圧倒的な低価格帯で気軽な”衝動買い”を誘います。
OPEN当日、店内で買い物するお客様は、女性が6割程度でした。
#ワークマン女子のブランド名通り女性向けアイテムが、通常のワークマンより充実していますが、売場構成比率は女子向け4割、ユニセックス2割、男性向け4割と、男性でも楽しんで買い物できる品揃えと雰囲気になっています。
また、幅広い年齢層が、老若男女問わず来店していたのも、非常に印象的です。

もちろん男性用衣料も、写真付きPOPで”シーン”訴求しています。(1500円!)

定番のマネキンによるファミリー訴求も、ワークマン売場で見ると、とても新鮮です。
ファミリーで来店して、気軽にコーディネートを揃えることが可能な低価格帯は、大きな魅力です。
最も高額で3900円までという驚異的なプライスラインで、アウトドア高機能ウェアをコーディネートできるコンセプトが、年齢層を問わず支持を受けるであろうことは、容易に想像ができます。

高級アウトドアブランドに負けない機能性とデザインの撥水ウォームジャケットが2900円で買える。従来のお店と商品の”見せ方”を変えただけなのに、とてもスタイリッシュです。
今までのワークマンの店内といえば、工事関係者などの”働く男性”が、黙々と作業着などを目的買いをしていく、まさに”ワークマン”の店名通りのイメージが強かったのですが、”#ワークマン女子”は、ワークマンの主力商品である作業服をあえて扱わない初の店舗づくりで、従来よりウィメンズ売場構成を上げ、スタイリッシュに演出することで、ターゲットを「女性(と、その周辺の男性)」に変更しています。

SNS”映え”を意識した撮影スポットがある店内。
店内での撮影大歓迎をうたってフォトスポットを設け、積極的にSNS上でお客様同士の交流と拡散を増やす工夫、アンバサダーとして人気の女子ブロガーやYouTuberを起用するなど、アイテム情報をSNS主体で発信することで、大きな宣伝効果が狙えます。
ワークマンにとって、新たな(!)顧客層である「女性」を全国の既存店舗に誘導するための大いなる仕掛け、それがこの”#ワークマン女子”ではないかと感じました。
<#ワークマン女子のこれからの展開>
入店前の大行列に並んだ際、親切にご対応いただいた店員さんとの雑談で、この店がフランチャイズ店舗だと知ることができました。
こんな大がかりなコンセプトストアのスタートアップですら、直営店ではなくFC店で展開できる自信とオペレーション力に、ワークマンという会社の底力を感じます。
この”#ワークマン女子”、当初は1店舗だけの展開を考えていたようですが、前評判の高さから全国展開が決定されています。
作業服、作業用品を扱わない店舗の名称を”#ワークマン女子”に統一して、路面店を中心に10年間で400店舗を新規出店する見込みのようです。
また、男性客向け製品も扱っていることが認知されるまで、”#ワークマン女子with男子”の店名も併用すると、ワークマンホームページのプレスリリースでは語られています。
(店名の”なんでもアリ感”がパワフルです。)

感染対策万全なセンターレジと、バックスクリーンには”過酷ファッションショー”映像
ワークマンの旧来のビジネスモデルは、流行に左右されない作業服、作業用品に特化して販売し、季節商品売れ残りも、来年へ持越す”キャリー在庫”にできる商品特性で、廃棄ロスとマークダウンを抑えたローコスト運営が可能でした。
またプロユースに合わせた7:00-20:00の営業時間、省力化を追求し、目的買いしやすい標準化されたレイアウト、あくまでショートタイムショッピングを想定した10台設定の駐車場、小規模ロードサイド店舗で物流の最適化を図り、郊外(サバブ)を中心に店舗数を拡大してきました。
ワークマンプラスから始まる近年の”カジュアル化インショップ”路線は、従来のこうした強みをなくしてしまうのではないかという、一部の見方もありましたが、依然、絶好調の様子です。
儲かるアパレルの秘訣は、「値引き」をしないこと。
売れるアパレルの秘訣は、「敵がいない」マーケットを見つけること。
安易なバーゲンセールやマークダウンに頼らなくても成り立つ、コンセプトと品揃えが重要だということが、”#ワークマン女子”を見て、あらためて実感できました。
今も昔も、ワークマンはこの2つの秘訣を変わらずに遵守した店づくりをしています。
ワークマンプラス以後の新業態の差別化ポイントは、お手頃価格で買えるアウトドア高機能ウェアです。
それを実現する背景が、買切りで安価に商品を仕入れて値引きなしで売り切る販売力であり、徹底した店舗に”無理をさせない”オペレーションであり、顧客要望に長年応え続けうる商品企画力なのです。容易に他社がマネできないビジネスモデルを、築き上げていることがわかります。
いまワークマンは、”#ワークマン女子”で、女性用お手軽価格のアウトドア機能性ウェアという巨大な空白マーケットを新たに発見して、そのブルーオーシャンを短期間で一気に勝ち取ろうとしているように見えます。
今後のワークマンの展開から、目が離せません。
以上