











Newsletter from California, USA「リアル店舗の進化形」
エイジス米国カルフォルニアオフィスより、アメリカの最新情報とビジネス動向をお届けいたします。
北米では、ニューノーマルにおけるデジタル化やコンタクトレス文化が急加速しています。スマホとキャッシュレス決済が生活の必須スキルになりつつある中、eコマース勢力に対抗するための 「リアル店舗の進化形」 の事例をご紹介いたします。
- レジレス店舗やレジレス決済の拡大と浸透
レジレス店舗は、基本的にスマートフォンの専用アプリを通じて買物客が自ら商品バーコードをスキャンし、アプリ内の決済システムで会計して買物が完了する仕組みです。
買物客はレジを通らずに 「シームレス&キャッシュレス&コンタクトレス」 に買物を済ませることが出来るため、レジに並ぶ列やレジ前の混雑が解消され、店内での3密を和らげる効果もあります。
レジレス店舗の先駆者である米Amazon(アマゾン)は、レジレスコンビニ 「Amazon Go(アマゾン ゴー)」 やレジレス小型スーパーマーケット 「Amazon Go Grocery(アマゾン ゴー グローサリー)」 を積極的に展開していますが、今夏、ロサンゼルスの郊外住宅地ウッドランド・ヒルズに、大型スーパーマーケット 「Amazon Fresh(アマゾン フレッシュ)」 をオープンしました。(8月末に限定ソフトオープン後、9月に一般オープン予定)

Amazon Fresh ©Dean Musgrove, Los Angeles Daily News/SCNG
「Amazon Fresh」 では、Amazonのスマートカート 「Dash Cart(ダッシュ カート)」によるレジレス決済や、「Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)」 による買物リスト管理、商品売場ロケーションのボイスアシスタントなどのテクノロジーが多用されており、Amazon.comからオンライン注文した商品のピックアップや返品も可能です。

Amazon Dash Cart ©Amazon
「Amazon Fresh」 は、スーパーマーケット業態にイノベーションをもたらすだけでなく、eコマースのサービスハブとしての機能も果たすため、これからの 「リアル店舗の進化形」 として注目を集めています。

Amazon Fresh ©Amazon
一方、北米36州で約2,000店舗を展開して躍進を続けるディスカウント型スーパーマーケットチェーンAldi U.S.(アルディ U.S.)も、レジレス決済導入に向けて着々と動いているようです。
Aldi U.S.は、ラインナップを絞った安価な商品提供や、コスパの高いプライベートブランド商品展開に力を入れており、2022年末までに2,500店舗展開を目指す5カ年計画の真っただ中で、コロナ禍にもかかわらず今年中に70店舗以上の新規出店を計画しています。
Aldiは、より安く、より早く、より効率的に買物出来ることが店舗の特徴にあげられるため、レジレス決済導入は店舗の特性に非常にマッチすると考えられています。

Aldi ©Supermarket News
東海岸エリアを中心に展開するスーパーマーケットチェーンの米Giant Eagle(ジャイアント・イーグル)は、以前からレジレス決済システム 「Scan Pay & Go (スキャン ペイ&ゴー)」 をテスト実施するなど積極的にレジレス決済に動いており、今年9月にはテクノロジースタートアップの米Grabango(グラバンゴー)と提携したレジレス決済システムをピッツバーグにある小型店舗 「GetGo Café+Market(ゲットゴー カフェ+マーケット)」 に導入しました。
2021年初頭には、同レジレス決済システムを大型店舗に導入する予定で、その後400店舗に拡大導入していく意向です。
また、米Walmart(ウォルマート)傘下で北米に約600店舗を展開するメンバーシップ制ホールセールチェーンの米Sum’s Club(サムズ・クラブ)は、2016年からレジレス決済システム 「Scan & Go(スキャン&ゴー)」 を全店に導入し、昨年にはアルコール商品も同システムで購入可能になりました。
Sam’s Clubによると、スキャン&ゴー利用者の90%は一度利用すると90日以内に再びスキャン&ゴーを使って買物していると明かしており、アルコール商品購入のひと手間を省くことでさらに買物客の利便性を向上させ、来店客数も上昇すると見込んでいます。

Sam’s Club Scan & Go ©Sam’s Club
コンビニやスーパーマーケットだけではなく、北米で約16,000店舗を展開する大手ダラーストアチェーンの米Doller General(ダラー・ゼネラル)も、レジレス決済システム 「DG Go(DGゴー)」 を一部店舗で導入しており、大手チェーンストアから大型スーパーマーケットまで、レジレス店舗化やレジレス決済システムを推進する事例が相次いでいます。
一般的なレジレス決済の利点として、買物中の合計金額のリアルタイム確認があげられますが、クーポンやディスカウント商品検索機能や商品レコメンド機能など、顧客の利便性を追求する各企業の改良も続いています。
同時に、企業は買物客の購買データを活用して、よりパーソナライズした顧客マーケティングが可能になります。

Amazon Go ©Shara Tibken/CNET
レジレス決済テクノロジーは日々進化を遂げており、 「Amazon Go」 のレジレステクノロジーがライセンスビジネスとして構築されたことで、リーズナブルな予算でレジレス店舗を運営できるようになりつつあります。
今春、ニューアーク国際空港に、同システムを採用したレジレス店舗 「CIBO Express Gourmet Market(CIBOエクスプレス グルメ マーケット」 がオープンし、今後もライセンスモデルを利用して導入拡大していくことが予想されます。
日本では自分でレジ決済を行うセルフレジ(セルフチェックアウト)が都心や郊外でも多く見られますが、今後は、レジ自体が不要なレジレス店舗やレジレス決済の動向に注目して、「リアル店舗の進化形」 を検討する姿勢が求められそうです。
以上