第7回ロスプリベンション講座

エイジスの阿部です。
私はロスプリベンションコンサルタントとして、お取引先各社へのコンサルタントを担当しています。
防犯設備士、セキュリティ診断士、セキュリティプランナー、クライシスマネージャーとして、店舗の問題点や課題を発見して改善策をご提案しています。

ロスプリベンション(以下LPと呼ぶ)のコンサルテーションの一つに、防犯カメラの設置があります。
各種図面と現地調査をもとにクライアントの予算の中で設置台数、場所、要求スペック、録画設定を決めていきます。
同じようなフォーマットでも建物外周部はそれぞれ違うので現地調査は欠かせません。
また地域の消防当局からの指導で出入口が増えている場合もあり、限りある予算という制約の中で優先順位を決めての取捨選択となります。

さて今回もLPの取組事例を紹介します。

● 取組事例(物流)
センター経由或いは店舗への直接納品があり、どちらも過去の納品実績からノー検品を実施していることが多いです。ノー検品の運用ルールの一つとしてサンプリング検査を行っているか、サンプリング頻度は適正かどうかの判断をします。
出入管理と重複しますが、施設入退室の記録はセンター・店舗では必須です。
納品に来た者が自社商品や他社商品を持ち出す事例は少なくありません。  

● 取組事例(仕入)
DSD(店舗直納)、売上仕入などの特殊仕入の場合は、検品、仕入・売上計上のルール上に穴がないか、また運用面でも不完全な事例がないかを確認します。

● 取組事例(店間移動)
商品、伝票の動きを複数の者が承認する仕組みを確認します。
店間移動をかけたモノを出荷元の店舗が着服する手口があります。
着荷店舗またはセンター経由ならばセンターでの検収が甘いと見過ごされてしまいます。

● 取組事例(値下げ)
値下げ権限者の絞込み、値下げシール(ラベル)の管理方法などを確認します。
値下げシールを売場の作業台に出しっ放しにしていると、買物客に盗まれて不正値引きなど悪用される事例があります。

「期限付き」や「商品名特定」の値下げシール(ラベル)などによって、レジで検知できる仕組みになっていればまだ良いですが、商品に貼られた「半額シール」を見てレジで処理をしている場合は対抗できません。貼り直しをすると破れるタイプのシールを使っていても、台紙ごと盗まれてしまえば意味がありません。

● 取組事例(保管)
商品、用度品の区別が明確になっていて、整理整頓清掃がなされ、適切な通路幅が確保されているかを確認します。
高額品は鍵の掛かる場所に保管し、その鍵の使用者を限定します。高額品は業態によって設定されますが、一般的にはタバコ、酒、化粧品、薬、その店舗で扱っている中では高額の価格帯にあたるものをいいます。
鍵をかけずに高額品を保管している店舗、ルール上は鍵の掛かる場所に保管することになっていても、施錠はできるが鍵は掛けていない・・・。
店舗巡回をしているとこのような事例をよく見かけます。

● 取組事例(棚卸)
本部立会者による検査内容と方法の策定、運用チェック、そして外部委託している場合の自店、業者の各責任の明確化について確認します。
オススメの棚卸委託仕様は、売場、バックルームを全て外部委託することです。
この場合でも一部箇所で店舗による事前整理で検数をする際は、店舗側が数えた箇所もサンプリング検査の対象とするべきです。
その理由は店舗側で実施する範囲を残すと、その範囲内で不正ができる余地を残すこととなるためです。

いかがでしょうか?
次回も引き続きロスプリベンション事例をご紹介します。
ご質問などがありましたら <ajis_customer@ajis-group.com>までお問い合わせください。